慰謝料などの損害賠償金を正しい金額で受けとるために大切なこと
突然の交通事故で大切なご家族を亡くされた方に、お悔やみを申し上げます。
おそらく、これからどうすればいいのか? 何をしなければいけないのか? と途方に暮れている方もいらっしゃるでしょう。
そこで本記事では、交通死亡事故の被害者の方のご遺族が、これから行なっていくべき大切なことについて弁護士が解説していきます。
まず、行わなければいけないことが7つあります。
そして、やってはいけないことは2つです。
また、葬儀の後は加害者の刑事裁判が行なわれ、慰謝料などの損害賠償金の示談交渉など、ご遺族が行なう重要な手続きもあるので、注意するべきポイントとともにお話ししていきます。
図解フローチャート:交通事故発生から示談解決までの流れ
まずは、事故発生から示談解決(慰謝料などの支払い)までの大まかな流れや必要な手続きなどについて確認してください。
死亡事故発生後、ご遺族がやるべきことは7つあります。
- 事故状況の確認
- 加害者の確認
- 警察との連携
- 目撃者や物証の確認
- 保険の確認
- 保険会社への連絡 <刑事裁判後>
- 加害者の刑事処分の確認
「事故後の流れと対応」
①死亡事故が発生
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②警察からの「聞き取り調査」への協力
実況見分調書などの作成に協力します。
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③加害者の起訴、不起訴の決定
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④起訴された場合は刑事裁判で量刑の決定
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⑤任意保険会社と示談交渉開始
慰謝料などの損害賠償金(示談金)の提示があり、金額に納得がいかなければ示談交渉に入ります。
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⑥示談が成立
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⑦示談が決裂した場合は裁判へ
提訴して裁判を起こす場合は弁護士に依頼します。
提示してくるわけではありません。
あなたが低い示談金で損をしないために、
示談の前には必ず弁護士の無料相談をご利用ください。
費用は原則として
後払いの成功報酬制。
初期費用なしでご依頼できます。
相談料・着手金が原則として無料です。
無料相談について
相談料は無料(0円)です。着手金について
ただし、被害者等の任意保険に弁護士費用特約がある場合には、その範囲内で(依頼者にご負担がない範囲内で)着手金が発生する場合があります。依頼者からは原則としていただきません。保険会社の提示額から増額できなければ
弁護士報酬はいただきません。
- 報酬について
- 【1】通常の場合 獲得金額(自賠責含む)の11%(消費税込)
訴訟をして、判決までいく場合には、通常賠償金額の10%程度の弁護士費用が賠償額に上乗せされるのが実務ですので、弁護士費用を加害者にある程度負担させられる場合があります。
「獲得金額」は、「増額した金額」ではなく、実際に獲得した金額となります。
例)賠償金として1,000万円獲得した場合
1,000万円 × 11%=110万円(消費税込)
【2】弁護士費用特約がある場合
保険会社と協議の上、別途報酬を取り決める場合があります。
【3】提示額から増額できなかった場合
報酬は原則として0円です。
【4】事案によっては上記報酬で受任できない場合があり、その場合は別途ご提示する報酬基準でお受けする場合があります。
- 実費について
- 示談交渉の場合には出張がある場合や刑事記録を取得する場合を除き、通常かかりません。
実費は主に訴訟提起の場合の印紙代等です。
印紙代の資金もない場合には、自賠責への被害者請求をすれば、ある程度の資金(上限4,000万円)を確保できますので、その後で訴訟提起をすれば、資金的には大丈夫でしょう。
弁護士費用特約に加入の場合は、
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死亡事故で受け取ることができる損害賠償項目とは?
交通事故の被害者の方は損害賠償金を受け取ることができるのですが、この中には治療費や介護費、休業損害や逸失利益、慰謝料などさまざまな項目が含まれます。 それらの中で、死亡事故で受け取ることができる主な損害賠償項目は次のものになります。- 治療費(治療後に亡くなった場合)
- 葬儀関係費
- 弁護士費用
- 死亡慰謝料
- 死亡逸失利益
①治療費
病院に搬送され、治療を受けた後に亡くなった場合は、必要かつ相当な実費全額が認められます。②葬儀関係費
「自賠責保険から支払われる金額」60万円(定額)になります。
この金額を超えた場合は、「社会通念上、必要かつ妥当な実費」として認められれば100万円まで支払われる可能性があります。
「加害者側の任意保険会社が提示してくる金額」 加害者が任意保険に加入している場合、通常その任意保険会社が提示してくる金額は120万円以内です。
「裁判で認められる上限金額」 弁護士に依頼して訴訟を提起した場合は150万円(原則)まで認められます。 150万円を下回る場合には、現実に支出した金額の限度で認められます。
- 遺体搬送料等の費用については、葬儀とは直接には関係がない費用なので、葬儀関係費とは別に相当な範囲で認められます。
- その他、墓石建立費、仏壇購入費、永代供養費などは、それぞれの事案ごとに判断されます。
たとえば、葬儀費用に100万円がかかった場合、ご遺族はまず60万円を自賠責保険から受け取り、残りの40万円は加害者側の任意保険会社と示談交渉していくという選択があります。
あるいは、初めから任意保険会社と100万円について示談交渉をしていく、という選択もあります。
③弁護士費用
- 加害者側の任意保険会社との示談交渉が決裂し、弁護士に依頼して提訴し、裁判になった場合などでは、最終的に判決で認められた損害賠償金額の10%程度を相当因果関係のある損害として、弁護士費用相当額が損害賠償額に加算されます。
- 弁護士費用相当額は示談交渉では認められず、裁判で判決までいった場合に認められます。 これは見方を変えれば、本来であればご自身で負担しなければならない弁護士報酬の一部を加害者側に負担させることができる、ということになるわけです。
死亡慰謝料の相場金額と算出方法
死亡慰謝料とは?
交通事故の慰謝料には、①入通院慰謝料(傷害慰謝料)、②後遺障害慰謝料、③死亡慰謝料、④近親者慰謝料(近親者固有の慰謝料)の4種類があります。
死亡慰謝料というのは、死亡事故の被害者の方の精神的苦痛や損害に対して支払われます。
被害者の方が病院で治療を受けた後に亡くなった場合は、入通院慰謝料(傷害慰謝料)も受け取ることができます。
また、ご家族の精神的苦痛・損害が大きい場合は、近親者慰謝料を請求することができます。
慰謝料の算定基準が変わると金額が大幅に違ってくる
慰謝料の算定では次の3つの基準が使われるのですが、金額に大きな違いが出てきます。- 自賠責保険で定められている基準で、もっとも金額が低くなります。
- 各任意保険会社が独自に設けているもので、自賠責基準よりも少し高い金額になるように設定されています。
- 金額がもっとも高額になる基準で、被害者の方が本来受け取るべき金額になります。
- 過去の裁判例から導き出されている基準で、弁護士や裁判所も用いるものです。
- 弁護士が被害者の方の代理人として加害者側の任意保険会社と示談交渉をする時や、裁判になった場合でも、この基準を主張していきます。
慰謝料の算定基準が変わると金額が大幅に違ってくる
自賠責基準と弁護士(裁判)基準それぞれの相場金額について早見表を作成しました。
基準の違いが、どのくらい金額に影響するのか、まずは確認してください。
「自賠責基準による死亡慰謝料の金額早見表」家族構成 | 金額 |
本人 | 400万円(一律) |
遺族が1人の場合 | 550万円 |
遺族が2人の場合 | 650万円 |
遺族が3人以上の場合 | 750万円 |
扶養家族がいる場合 | 200万円が加算 |
注1)遺族には被害者の方の両親、配偶者、子が含まれます。
注2)自賠責基準による死亡慰謝料は、「被害者本人の死亡慰謝料」と、「ご家族などの近親者慰謝料」を合計した金額で支払われることに注意が必要です。
たとえば、死亡した被害者の方が家族の生計を支えていて、妻と2人の子供がいる場合の相場金額は次のようになります。
400万円+750万円+200万円=1350万円(死亡慰謝料)
被害者の状況 | 死亡慰謝料の目安 (近親者への支払い分を含む) |
一家の支柱 | 2800万円 |
母親、配偶者 | 2500万円 |
独身の男女、子供、幼児等 | 2000万円~2500万円 |
弁護士(裁判)基準での死亡慰謝料は、あらかじめ上記のように金額が設定されています。
ただし、この金額はあくまで目安のため、事故の状況、悪質性などによっては増額する場合があります。
たとえば、加害者が無免許や飲酒運転、著しいスピード超過などの悪質運転だった場合や、被害者の方に特別な事情がある場合などです。
慰謝料について、ご遺族の方に注意していただきたいのは、加害者側の任意保険会社が提示してきた金額で安易に示談を成立させてはいけない、ということです。
高額が認められる弁護士(裁判)基準で算定した金額を加害者側の任意保険会社に認めさせることが大切なのです。
死亡慰謝料は誰が受け取ることができるのか?
すでに被害者の方は亡くなっているので受取人はご家族などの相続人になります。
ただし、法的に相続順位や分配割合が規定されていることに注意が必要です。
配偶者:2分の1
子:2分の1
- たとえば子供が2人の場合、2分の1を分けるので、1人の相続分は4分の1になります。
- すでに子供が死亡している場合、子供の子供(被害者の方の孫)がいれば、「代襲相続」により「孫」が相続人順位の第1位になります。
配偶者:3分の2
親:3分の1
- 被害者の方に子供がいない場合は、親が配偶者とともに相続人になります。
- 両親(父母)がいる場合、3分の1を2人で分けるので、1人の相続分は6分の1となります。
- 養子縁組をした場合、その養父母も相続人になります。
配偶者:4分の3
兄弟姉妹:4分の1
- 被害者の方に子供や親がいない場合は、兄弟姉妹が配偶者とともに相続人になります。
- 兄弟姉妹が複数人の場合、兄弟姉妹の相続分である4分の1をその人数で分配します。
- 兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、その子供が同順位で相続人になります。
- 前提として、被害者の方に配偶者がいれば必ず相続人になります。
- 認知されている子が遺産相続の対象となります。
- 胎児も相続人になります。
- 配偶者がいない場合、筆頭の親族のみが相続人になり、それ以外の親族は相続人にはなりません。
実際、交通事故の慰謝料などの受け取りでは、親族同士が争うケースがあります。
当事者同士で、なかなか解決できない場合は弁護士に相談・依頼することも検討されるといいでしょう。
死亡逸失利益の相場金額と算定方法
被害者の方が生きていれば、将来的に得られるはずだった収入(利益)を死亡逸失利益といいます。
死亡逸失利益は次の計算式で求めます。
「年収」
・事故前年の年収を基本とします。
・幼児、生徒、学生、専業主婦の場合は、全年齢平均賃金または学歴別平均賃金が基準となります。
「就労可能年数」
・原則として、18歳から67歳とされます。
・年長の被害者の方については,年齢や仕事内容等を考慮したうえで,事故時の年齢から67歳までの年数と、平均余命の2分の1のどちらか長期のほうを採用することもあります。
・未就労者の場合は、18歳または大学卒業後の年齢から67歳までの年数が基準となります。
「ライプニッツ係数」
・逸失利益は、将来の収入を現在に一時金として受け取ることになります。
すると、現在と将来ではお金の価値に変動があるため、その差額を現時点で調整する(中間利息を控除する)必要があり、そのために用いるのがライプニッツ係数です。
・ライプニッツ係数は、あらかじめ定められている係数表から調べます。
【参考資料】:「就労可能年数とライプニッツ係数表」(厚生労働省)
「生活費控除率」 ・生きていれば生活費にお金がかかりますが、亡くなったために生活費を支出する必要がなくなるので、その分を控除するものです。
・死亡慰謝料と同様に、被害者の方の家庭での立場によって一応類型化されており、次のように決められています。
被害者が一家の支柱で被扶養者が1人の場合 | 40% |
被害者が一家の支柱で被扶養者2人以上の場合 | 30% |
被害者が女性(主婦、独身、幼児等含む)の場合 | 30% |
被害者が男性(独身、幼児等含む)の場合 | 50% |
死亡逸失利益は年齢、職業などによって金額が変ってきます。
また算定は複雑なので、一度、交通事故の損害賠償実務に精通した弁護士に相談・依頼されるといいでしょう。
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みらい総合法律事務所では今すぐ無料で、どなたでも、簡単に、ご自身の慰謝料などの損害賠償金額を知ることができる「慰謝料自動計算機(シミュレーター)」をWEB上にご用意しています。
これは、みらい総合法律事務所の弁護士たちが過去のデータや判例などを調べ上げ、数式などをプログラミングすることで、自動で計算できるシステムとして開発したものです。
シミュレーターの指示の通りに数字などを入力するだけで、どなたでも簡単に金額を計算することができます。
慰謝料自動計算機|交通死亡事故の慰謝料・示談金の計算がすぐわかる交通事故の加害者に発生する3つの手続(責任)について
交通事故の加害者には次の3つの手続(責任)が発生します。
刑事手続(刑事上の責任)
刑事上の責任とは、加害者が法令上、定められた犯罪行為を行なったとして刑罰を受けることで、交通事故の犯罪類型としては次のものなどがあります。- 道路交通法違反/
信号無視、スピード違反、無免許運転などの
違反をした場合 - 過失運転致死傷罪/
交通事故で他人にケガを負わせた場合、
あるいは死亡させた場合 - 危険運転致死傷罪/
自動車運転過失致死傷罪の中でも
特に悪質な交通事故の場合
なお刑事罰には、罰金刑、禁固刑、懲役刑があります。
民事手続(民事上の責任)
民事上の責任とは、「自動車損害賠償保障法」に基づく運行供用者責任(自動車損害賠償保障法3条)、「民法」に基づく不法行為責任(民法709条)、使用者責任(民法715条)などのことです。
交通事故を起こすと、加害者(運転者)は被害者に対して不法行為が成立し、被害者が被った損害を賠償しなければならない義務が発生します。
民事では、示談により解決する場合と調停や訴訟により解決する場合があります。
加害者が任意保険に加入している場合は、その保険会社から損害賠償金(状況に応じて示談金とも保険金ともいいます)の提示があり、示談成立となると損害賠償金が被害者の方に支払われます。
行政手続(行政上の責任)
行政上の責任とは、免許の停止や取消しの処分です。
これら3つの手続(責任)は、それぞれが別々の制度ですから、ご遺族は次のことも覚えておいてください。
- 刑事処分を受けたからといって、
民事上の責任を免れるわけではない。 - 行政処分を受けて反則金を支払ったからといって、
刑事処分を免れるわけではない。 - 民事裁判で加害者の損害賠償責任が認められても、
刑事裁判では不起訴や無罪になることもある。
刑事事件の流れと被害者参加制度について
通常、加害者の刑事事件は次のようなプロセスで進行していきます。
- 交通事故の発生
- 警察による実況見分
- 警察による取り調べ
- 実況見分調書などの作成
- 検察庁での取り調べ
- 検察官による起訴・不起訴の判断
- 起訴の場合は略式裁判か正式裁判かの判断
ここでは、ご遺族が注意するべきポイントについてお話します。
交通事故では実況見分調書や供述調書が重要です
①実況見分調書とは? 交通事故の発生後、警察に通報すると、事故現場では警察官による実況見分が行なわれます。
これをもとに「実況見分調書」が作成され、次のことなどが記載されます。
- 見分の日時・場所・立会人名
- 現場道路の状況
- 運転車両の状況
- 立会人の指示説明(最初に相手を発見した地点、ブレーキを踏んだ地点、衝突した地点など) ※さらに、事故現場の見取図や写真等が添付されます。
刑事事件では、実況見分調書はもっとも重要な証拠の一つになります。
検察が加害者を起訴するかどうか、また刑事裁判になった場合の量刑の決定にも関わってくるからです。
なお、その後の示談交渉や民事裁判でも過失割合における大きな証拠や判断材料にもなるため、非常に重要なものなのです。
②供述調書とは?
警察が加害者と被害者双方に聞き取り調査を行ない作成するのが「供述調書」です。
供述調書は、実況見分調書と同様に刑事事件や民事訴訟において事故の状況を明らかにするために、その証拠として利用されます。
また、供述調書の作成には加害者が虚偽の申告をすることを防ぐという目的もあります。
たとえば加害者は事故直後の供述から一転して、刑事裁判では自分の過失などを否認する場合があり、そこでの重要な証拠となるのです。
死亡事故の場合は被害者の方が亡くなっているため、ご遺族が聞き取り調査を受け、「遺族調書」が作成されます。
聞き取り調査では、亡くなった方の生前の様子や加害者に対する処罰感情などについて聞き取りが行なわれるので、素直に思いを話されるといいでしょう。
③供述の際はここに注意してください
実況見分調書や供述調書は事故の状況を明らかにする公的な書類(刑事記録)ですから、刑事手続でも民事手続での示談交渉の際でも重要な証拠になる資料です。
ご遺族として供述する際は、必ず記憶に基づいて正確に証言をする必要があるのですが、ここで気をつけなければいけないのは、警察官が推測に基づいて事故の状況について誘導的に質問する場合があることです。
被害者の方が誘導に乗って不利な証言をしてしまうと、その内容が実況見分調書などに記載されてしまいます。
この内容をあとから覆すのは非常に難しくなるので十分注意してください。
ご遺族は被害者参加制度を利用できます
①被害者参加制度とは?刑事裁判は、罪を犯した疑いがある人=被疑者を検察官が起訴して始まるのですが、国が加害者を裁くため、民事裁判のようにご遺族は関わりません。
しかし、交通事故の実際の状況や加害者がどのような供述をしているのか知りたい、刑事裁判に直接参加してご自身の感情や意見を述べたい、加害者(被告人)に質問したい、と思う方もいます。
そうした時は、「被害者参加制度」を利用することができます。
被害者参加制度の利用を希望する場合は、あらかじめ事件を担当する検察官に申し出ます。
検察官は、その申し出に対して意見を付して裁判所に通知します。
裁判所は被告人や弁護人の意見を聴き、犯罪の性質や被告人との関係、その他の事情などを考慮し、相当と判断されれば希望者は被害者参加人として刑事裁判に参加することができます。
被害者参加制度を利用できる人は次のとおりです。
- 被害者の方
- 配偶者
- 直系の親族
- 兄弟姉妹
- 被害者の法定代理人(親権者、後見人) など
- 原則、公判期日には法廷で裁判に出席することができる(検察官席の隣などに着席する)。
- 検察官の訴訟活動(証拠調べの請求や論告・求刑など)に関して意見を述べたり、検察官に説明を求めることができる。
- 証人尋問をすることができる(情状に関する証人の供述の証明力を争うために必要な事項など)。
- 被告人に質問することができる(意見を述べるために必要と認められる場合)。
- 証拠調べが終わった後は、事実または法律の適用について法廷で意見を述べることができる。
法務省:公判段階での被害者支援
④被害者参加のメリットは?<刑事裁判前の刑事記録の閲覧謄写>
現実的には、刑事事件では捜査段階で被害者側に、事故の詳しい状況や加害者の供述内容などが明かされることは少ないです。
そのため、被害者の方は事故の内容を詳しく知ることができず、刑事裁判に参加することで加害者側の供述内容を初めて知ることになります。
そこで被害者参加をすれば、第1回公判期日の前に、刑事記録(実況見分調書や供述調書)の閲覧謄写が可能になるため、ご遺族は裁判で加害者の供述の嘘や矛盾を追求することができる可能性があります。
<裁判官に直接訴えることができる>
加害者が罪を認めている場合では、検察官の立証は書類のみを裁判所に提出することが多いです。
そのため、裁判官は書面だけを見て被害者の感情などを知ることになるのですが、実際の裁判でご遺族が意見を陳述することができれば素直な感情を裁判官に伝えることができますし、供述の迫真性が増します。
<刑事記録は民事裁判の過失割合でも重要な資料になる>
民事における交通事故の損害賠償では、過失割合が大きな争点になる場合があります。
過失割合とは、事故についての加害者と被害者の過失(責任)の割合のことで、その割合に応じて損害賠償金を減額することを過失相殺といいます。
たとえば、被害者側の損害賠償金額が1,000万円で、加害者と被害者の過失割合が9対1の場合、被害者の方は1割減額された900万円を受け取ることになります。
一方、加害者側が高級車だった場合などで損害額が高額になり、仮に1,000万円だった場合、被害者の方は1割の100万円を支払わなければならなくなってしまうのです。
交通事故の損害賠償実務では、過失割合を決めるために加害者の刑事事件記録の取り寄せが行われますし、民事裁判になった場合でも基本的に裁判所は実況見分調書に則って過失割合を認定します。
加害者側から不当に過失相殺を求められた場合などでは、刑事記録が大きな証拠になりますし、加害者、目撃者の供述調書を取り寄せることで事故状況や飲酒の有無、スピードオーバ-などを立証する証拠にもなります。
死亡事故のご遺族が知っておくべき4つの注意ポイント
加害者側との示談交渉は刑事裁判の判決が出てから行なう
加害者が任意保険に加入していれば、示談代行サービスがついている場合が多いので、被害者の方のご遺族の示談交渉相手はその保険会社になります。
通常、四十九日が過ぎると保険会社は慰謝料などの損害賠償金(示談金、保険金ともいいます)を提示してくるのですが、ここで注意していただきたいのは、判決が出る前に示談交渉は行なわないことです。
というのは、刑事事件の判決が出る前に示談を成立させて損害賠償金を受け取ってしまうと、「一定の償いは行なわれた」と裁判所が判断して、加害者の量刑が軽くなってしまうことがあるからです。
見舞金は受け取らないほうがいい!?
加害者側が損害賠償金とは別に「見舞金」の提供を申し出ることがあります。
これは、加害者側が量刑を軽くする目的もあるので、受け取るかどうかはよく考えて決めたほうがいいでしょう。
消滅時効には注意してください!
法的な効力や権利が一定の時間が経過するとなくなってしまうことを消滅時効というのですが、交通事故の損害賠償請求にも時効があります。
時効の期間を過ぎてしまうと、ご遺族は慰謝料などの損害賠償金を一切、1円も請求することができなくなるので、くれぐれも注意していただきたいと思います。
支援制度についての情報
ご家族が亡くなった場合の精神的、経済的なさまざまな支援制度があり、警察、検察、民間団体などが行なっています。
遺族年金や労災年金なども含めて、こちらの記事で詳しく紹介していますので、利用されるといいでしょう。
ここまで交通死亡事故で、ご遺族に知っていただきたいことをお伝えしてきました。
加害者側の任意保険会社(株式会社の場合)は営利目的で運営されているので、本来よりかなり低い慰謝料や逸失利益などを提示してきます。
そして、被害者の方が単独で示談交渉しても、保険会社が増額要求を認めることは少ないのが現実です。
また、刑事裁判の被害者参加制度の申請は弁護士のサポートを受けたほうが、スムーズに進めることができます。
みらい総合法律事務所には年間1,000件以上の相談が寄せられており、これまで多くの事案で慰謝料などの増額解決を実現してきました。
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