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4歳の子どもが事故で亡くなりました。損害賠償の計算は、どのようにしますか?

交通事故で子どもが亡くなった場合、大人が被害者となったときと同様、加害者に対して損害賠償や慰謝料を求めることができます。

子どもを失った悲しみは金銭だけで解決するのは難しいですが、相手に対して適正額の賠償金を支払わせることは、多少なりとも精神的苦痛を和らげることに繋がります。

子どもが死亡した場合の損害賠償(慰謝料)の計算方法を確認しておきましょう。

子どもが交通事故で死亡した際の損害賠償の項目

交通事故による損害賠償は、損害を被った項目ごとに被害額を計算し、加害者に請求することになります。
交通事故で被害者が亡くなった際に損害賠償の対象となる主な項目は、主に次の4点です。

(1)死亡慰謝料

交通事故で被害者が死亡した場合、被害者の家族は加害者に対して慰謝料を請求することができます。
死亡事故による慰謝料は、被害者本人が負った精神的苦痛に対するものです。
交通事故により負傷した際は、被害者本人が慰謝料を求めることになりますが、死亡事故は被害者が請求することができないため、代わりに相続人である遺族が慰謝料請求を行います。

(2)死亡逸失利益

逸失利益は、本来であれば将来にわたって得ることができる収入などの利益をいいます。
交通事故で後遺障害を負ったときは、後遺障害等級に応じた逸失利益を計算し、加害者に請求することになります。

死亡事故においては、被害者の死亡で将来得られるはずだった収入がすべて失われますので、収入が多い人ほど請求額が大きくなります。

子どもは交通事故の時点で働いていないことがほとんどですが、将来的に収入を得られる可能性があることから、大人と同様、死亡により逸した利益に対する損害賠償を求めることができます。

(3)葬儀費用

交通事故で被害者が亡くなった際に行われる葬儀費用も、加害者が賠償すべき金額の一つです。
葬儀費用として請求できる額は、原則150万円が上限です。

ただし、葬儀内容は被害者の立場によって違いますので、社会的地位が高い人が亡くなった際は、150万円を超える額を請求できる場合もあります。

 

(4)近親者慰謝料

交通事故で被害者が死亡したことにより、両親など近親者に精神的苦痛が発生するため、それを慰謝するための賠償金です。

 

子どもの年齢は交通事故の慰謝料の額に影響するのか

交通事故による損害賠償金の額は、被害者の立場や収入状況によって変化しますが、慰謝料は精神的な苦痛に対する賠償であるため、年少者であることが原因で金額が下がることはないです。

慰謝料の額に子どもの年齢は影響しない

交通事故の慰謝料については、被害者である子どもの年齢が影響することは基本的にありません。
慰謝料の額は、自賠責基準や弁護士基準をベースに計算することになりますが、自賠責基準で支払われる慰謝料の額は子どもや大人に関係なく一律です。

弁護士基準については、被害者の立場によって慰謝料の額が変動するため、家族を養っている人が被害者となったときは、子どもや独身者が死亡した場合よりも金額が高くなる傾向になります。

一方、子どもが扶養家族だった場合、遺族の精神的苦痛が考慮されることもあるため、年齢より同居・別居の方が慰謝料の額に影響する度合いは大きいです。

死亡逸失利益の計算方法

死亡逸失利益の額は、交通事故で死亡しなければ就労していた期間に生じる収入から、生活費相当額と中間利息相当額を差し引いて算定します。

<死亡逸失利益の計算式>
基礎収入 ×(1 - 生活費控除率)× ライプニッツ係数 = 死亡逸失利益

 
基礎収入の額は、原則交通事故が発生した前年の収入とします。
子どもは前年の収入がゼロの場合がほとんどですが、将来的に働いて収入を得られる可能性が高い存在です。

そのため、政府が公表する「賃金構造基本統計調査」の結果をベースにした賃金センサスの平均賃金を基礎収入として、死亡逸失利益を計算します。
被害者が死亡した場合、収入だけでなく、死亡により生活費もかからなくなるため、基礎収入から生活費控除率を差し引きます。

死亡逸失利益を計算する際に用いる生活費控除率は、被害者の家族構成や年齢によって異なり、標準的な控除率は次の通りです。

<生活費控除率>

性別・扶養者の有無等 生活費控除率
一家の支柱
(被扶養者1人)
40%
男性
(独身・幼児等を含む))
50%
女性
(主婦・独身・幼児等を含む)
30%

 

ライプニッツ係数(中間利息控除)は、将来にわたって得ることができたとされる利益を現在価値に引き直すための係数です。
係数は死亡時の年齢から67歳までの期間ごとに定められており、被害者の年齢が若いほど係数が高くなります。

 

交通事故で子どもが死亡した場合の慰謝料の計算方法

慰謝料を計算する基準には自賠責基準と弁護士基準があり、どちらの基準で慰謝料を計算するかで受け取ることができる金額は変わってきます。

自賠責基準の場合

自賠責基準による死亡慰謝料は、一律400万円です。
400万円の額は年齢に関係なく定められていますので、被害者に対して支払われる額は、0歳から18歳までの子どもであったとしても400万円です。

一方で、死亡事故は家族も大きな精神的苦痛を受けますので、請求できる家族がいるときは慰謝料の額が増額されます。
請求対象の遺族が1人の場合には550万円、2人が請求するときは650万円を受け取ることができます。

弁護士基準の場合

弁護士基準は、過去の裁判例などを参考に慰謝料を算定する基準です。
弁護士基準は自賠責基準と違い、交通事故ごとに金額を算定することになるため、一律に定められている額はありません。

一般的な相場は2,000万円から2,500万円と、自賠責基準で算定するよりも受け取れる慰謝料の額は多いです。
また、保険会社が設定している基準(任意保険基準)より金額は高いため、適正な慰謝料を受け取りたい場合は、弁護士基準に基づいた金額を請求する必要があります

 

子どもが交通事故死した際に受け取れる損害賠償金の額

損害賠償金の額は個々の状況によって変わりますので、4歳の男の子が交通事故で亡くなった際の損害賠償金の計算例をご紹介します。

<計算例:4歳の子ども(男)が交通事故死した際の損害賠償金>

〇慰謝料
2,500万円

〇死亡逸失利益
5,698,200円(※)×(1-50%)×16.860=4,803万5,826円
※令和5年賃金構造基本統計調査を参照

〇葬儀費用
150万円

〇損害賠償金の合計額
2,500万円 + 4,803万5,826円 + 150万円 = 7,453万5,826円

 
上記の金額は目安であり、実際の損害賠償の額は交通事故の状況や被害者の立場・収入によって変わる点には注意してください。

子どもや独身者は、養っている家族はいませんので、家族の大黒柱が亡くなったケースよりも請求できる額は減ります。
しかし、被害者が家族内でどの立場であったとしても、被害者の家族は慰謝料を含めた損害賠償を求めることができます。

交通事故死した子どもの慰謝料が増額されるケース

同じ年齢の子どもが亡くなった場合でも、交通事故の状況が違えば、損害賠償金として請求できる額は変わります。

被害者が子どもだったことを理由に慰謝料が増額するケースとしては、遺族の精神的苦痛が大きいとみなされた場合です。

加害者に飲酒運転やスピード違反、居眠り運転などの重大な過失があるときは、慰謝料の請求額は増えますし、事故発生後の対応や謝罪等の無い場合も、慰謝料の額が増額する要因となります。
また、被害者の両親の子が被害者のみの場合、被害者の家族に与える影響は大きいですし、幼児が亡くなった際も強い精神的苦痛を受けたとして、慰謝料が増額する可能性があります。

 

交通事故死した子どもの慰謝料が減額されるケース

交通事故の被害者が年少者であることを理由に慰謝料の額が減らされることはないですが、被害者に交通事故の過失があると認められるときは、減額される可能性があります。

不注意が原因で交通事故が発生した場合、当事者の過失責任が問われることになります。
過失割合が0:10であれば被害者に過失は一切なく、加害者に事故が発生した全責任があるため、慰謝料の額が減額されることはありません。

一方、過失割合が2:8の場合には、被害者に2割の過失がありますので、請求できる慰謝料の額は減ってしまいます。

子どもの死亡事故で過失があるとみなされるケースとして多いのが、飛び出し事故です。

自動車と歩行者の交通事故の場合、基本的には自動車側に責任がありますが、飛び出し事故においては、被害者である歩行者にも一定の非があると判断されます

ただし、子どもは交通事故に巻き込まれやすい交通弱者に該当しますので、子どもが飛び出したことで事故が発生したとしても、大人が飛び出した場合より過失割合は低くなります。

 

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