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個人事業主ですが、逸失利益は、どのように計算すればよいですか?

個人事業主の逸失利益を計算する際、基礎収入が争点となるのが特徴です。

個人事業主の基礎収入は①原則として申告所得額を基礎とします。通常は交通事故前年度の確定申告所得額となります。なお、青色申告控除がなされている場合は、同控除額を引く前の金額を基礎とします。

また、②所得が資本利得や家族の労働などの総体の上で形成されているばあいには、所得に対する本人の寄与部分の割合によって算定されます。例えば、家族従事者を使用しているにもかかわらず、その者に対する相当額の給与支払いがない場合には、事業主の所得として申告された額の中にはその家族従事者の労務の成果部分も含まれていることになります。

ですから、その場合は、所得額に被害者の寄与の割合を乗じた金額を基礎収入とします。逆に、家族等に給与が支払われている旨の申告がなされているにもかかわらず、家族が事業に従事していなかったり、給与支給額に相応する就労状況でなかったりする場合は、家族に対する給与支払額も被害者の年収に加算して基礎収入とするケースもあります。

この点、被害者の遺族が事業を承継できているときなどには、事故前後の経営状況の変化を参考として本人の労働の寄与部分を判断することもあります。

次に、③実収入額が申告所得額と異なる場合は、実収入額を立証できれば、その実収入額が基礎収入となります。確定申告所得額を上回る収入(所得)があった場合その現実の収入状況が立証されればその金額に応じた基礎収入が認定されるのです。とはいえ、裁判例によれば、この点はある程度確実性のある立証を求められますので、申告所得額を異なる実収入を基礎とする主張をとおすことは簡単ではありません。

当該収入状況ごとに適切に立証する必要があります。なお、収入が申告額より多いという主張とともに経費の水増し等が主張されることもありますが、その場合も同様ですが、やはり実収入(真実の必要経費)の立証は容易ではありません。

確定申告を一切していない被害者の場合でも基礎収入がゼロとされるわけではなく、何らかの相当な収入があったと考えるのが自然なケースでは、賃金センサスの平均賃金額等を参考として基礎収入額を算定するのが通常です。

さらに、④現実収入が平均賃金を下回る場合、平均賃金が得られる蓋然性があると立証できれば男女別の賃金センサスによって基礎収入が決まります。

加えて、⑤現実収入の証明が困難なときは、各種の統計資料(各種商品小売業者全労働者平均賃金)を参考として基礎収入を算定することもあります。

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