死亡事故(交通事故)の慰謝料相談・増額
遺族が請求できる項目
死亡事故の場合に、被害者の遺族が請求できる項目は次のとおりです。
(1)葬儀関係費
(2)逸失利益(生きていれば得られたはずのお金です。)
(3)慰謝料(被害者本人と遺族の精神的損害に対する慰謝料です。)
(4)弁護士費用(訴訟の場合)
なお、即死ではなく、治療後に死亡した場合には、治療費や慰謝料等を別途請求できることはもちろんです。
順番に見ていきましょう。
1 葬儀関係費
葬儀関係費は、自賠責保険に請求する場合には、定額で60万円です。60万円を明らかに超える場合は、「社会通念上必要かつ妥当な実費」が認められますが、せいぜい100万円以内と考えておいてください。
弁護士に依頼して訴訟を起こした場合には、150万円が相場です。墓石建立費や仏壇購入費、永代供養料などは、個別で判断されることになります。
任意保険会社は、たいてい100万円以内で見積もってきます。120万円が出てきたら、頑張ったほうでしょう。
場合によっては、弁護士基準である150万円を出してくるケースもありますので、頑張って交渉しましょう。
2 逸失利益
逸失利益は、被害者が生きていれば得られたはずのお金です。
将来得られたはずのお金を算定し、その金額を、今一時金として受け取ることを前提に、中間利息を控除するのは、後遺障害の場合と同様です。
後遺障害の場合と異なるのは、死亡の場合には、その時点で100%所得がなくなりますので、労働能力喪失率は100%です。また、生きていれば、生活費にお金がかかるはずなので、後遺症の場合と異なり、生活費でかかるであろう割合を差し引くことになります。
これを「生活費控除」といいます。
死亡逸失利益の計算式
(年収)×(就労可能年数に対するライプニッツ係数)×(1-生活費控除率)
(1)年収
ここでの年収は働いている人は、事故前年の年収を基本に算出します。
ただし、30歳以下くらいの有職者は、学歴別全年齢平均賃金で算出することもあります。
無職者(18歳未満を含む)は、男女別(女子の場合は全労働者が算定することもあります。)全年齢平均賃金で算定するのが原則です。
(2)就労可能年数に対するライプニッツ係数
就労可能年数は、原則として18歳から67歳とされています。
したがって、18歳以上であれば、事故時までの年齢を差し引いた年数に対応するライプニッツ係数で計算します。
高齢者で、67歳を過ぎても働いている場合には、その後何年くらい働く蓋然性があるかで判断し、また年金をもらっている場合には、その年金額も考慮します。
(3)生活費控除
被害者が男性の場合には、生活費控除率は50%でされるのが通常です。
ただし、一家の大黒柱で、被扶養者がいる場合には、その人数により、30%~40%になる場合があります。
被害者が女性の場合には、幼児か働いているかを問わず、30%程度で算定されるのが通常です。
3 慰謝料
死亡事故の慰謝料については、次のようになります。
(1)一家の支柱 2,800万円
(2)母親、配偶者 2,400万円
(3)その他 2,000万円~2,200万円
近親者が固有の慰謝料を請求する場合には、これらが減額され、それぞれの近親者等の固有の慰謝料に割り振られたり調整が図られることがあります。
慰謝料増額事由がある場合には、この金額は増額されることがあります。
4 弁護士費用
死亡事案には限りませんが、これまで説明したとおり、訴訟になり、弁護士が必要と認められる事案では、認容額の10%程度を相当因果関係のある損害として、損害賠償額に加算されるのが通常です。
忘れないようにしましょう。